前章-11
「この無垢で淡い色の蕾も……やがては他所の男に」
指先はゆっくりと円を描き、未だ突起してい無い桜色の乳首を弄り続ける。
自らの妄想に陥った肉体は、娘の身体を犠牲にしてでも、狂熱を迸らせたいのか。
乳首を弄っていた伝一郎の指は、やがて胸から腹をなぞり、そして下腹部へと降りて行く。
「……未だ固く閉じた小さなここも、何れは男の指を女陰(ほと)びらせる位、濡らすんだろうな」
若し、その相手が父親である俺だったとして、この子はどの様な抵抗を見せてくれるのだろう──そう考えた途端、伝一郎は淫茎を強く握り絞めて、激しくしごき出した。
「はぁ!はぁ!……千代子」
伝一郎の指先はじわじわと、下腹部の幼い恥丘を堪能しながら下へ下へと降りて行き、小さな秘裂に触れようとした。
その時、
「おとーしゃん?」
父親の異変に気付いた千代子の、無垢な声が挙がった。
伝一郎の眼が、純真な我が子の顔を捉えた瞬間、彼は全身を痙攣させて射精した。
「ぐっ!ああっ!」
脳内を凄まじい興奮が駆け廻り、淫茎の先から幾度と無く精液が迸る。久しぶりに味わう程の昂りで有った。
妄想の虜から解き放たれた伝一郎は、千代子の身体を綺麗に拭いてやりながら、先程の出来事で己を鑑みる。
──自分はひょっとして、気違いでは有るまいか。
十二歳で母との目交わいを夢見て、数え切れ無い程の自慰に耽を繰り返し、剰(あまつ)さえ、夜這い紛いに迄及んだ。
そして遂に、目的を果たした最初の夜、異様な興奮と共に、幾度も繰返した射精の解放感は、深く記憶に刻んでいるが、さっきはそれと同等の情欲を感じていた。
(幼女もだが、自分の子じゃないか……)
──あれから五年経ち、今は未だ離れ々の暮らしを強いられているが、何れは家族として住むつもり有り、現状の生活には満足してる。それが何故、さっきは千代子に催したのか。
(やはり、俺自身がそう言う性分なのか……?)
伝一郎は恐怖を感じていた。この思考を推し進めて行く先に待つ結論の、余りのおぞましさに気付いたからだ。
しかし、同時に、その“世界”に踏み出したいとする願望も涌き上がった。
「……それは、それはいかん」
導かれた答えを、振り払おうとする伝一郎。しかし、否定すればする程“それこそが本質なのだ”だと彼に語り掛けて来た。
「よし!これで別嬪さんの出来上がりだ」
菊代の帰りを待つ間、伝一郎は出掛ける支度に掛かる事にした。
綺麗になった千代子に、先ず外出用の浴衣を宛がう。金魚の図柄は、最近お気に入りの奴で有る。
そして、洗って硬くなった髪を整えてやる。櫛に椿油を少量ずつ塗り、丁寧に梳かしてやると、髪の毛が綺麗に揃う上、艶と甘い香りが加わって、可愛らしさも際立って来た。