君をやっぱり守りたい-6
勝手に崩れ落ちた男に、何がなんだかわからない顔をしていた久留米は、しばし呆然と突っ立っていた。
芽衣子も久留米の胸にしがみつきながらその様子を見ていた。
怪しまれたか、と不安になりかけたが、この非常事態で二人はそれどころじゃなかったらしい。
我に返った久留米は芽衣子の身体をそっと地面に座らせてから、再び男に飛びかかろうとした。
だが、芽衣子は久留米の左足にしがみついた。
「やっ、やだあ! 行かないで!!」
顔を上げ、涙声で必死に訴える芽衣子。
「……芽衣子、あいつとっつかまえて警察連れて行かねえと!」
奴は強い口調で芽衣子を見たが、彼女は泣きながら首を激しく横に振った。
久留米は芽衣子にしがみつかれた体をどうしていいのかわからず、困ったように固まる。
そして男はすかさずその隙をついて、最後の力を振り絞ったかのように、一目散に逃げて行ってしまった。