君をやっぱり守りたい-5
また、コイツは俺の決意を鈍らせるのか。
確かにさっきは自分の保身を考えてしまい、芽衣子を助けることをためらってしまった。
危険を省みず暴漢に立ち向かって行った久留米に完全に負けたと思った。
でも、そんなのもうどうでもいい。
とにかく俺の頭にあるのは芽衣子をやっぱり守りたい、その想いだけだった。
「黙ってろ、うすらハゲ!」
俺はおそらく園田がいちばん言われたくないであろうセリフを吐き捨て、男の側へと駆け寄った。
そして男の手からひったくるようにナイフを奪い取ると、カランと道路の方へ投げ捨ててやった。
「あ、あれ……!?」
丸腰になった男は、いきなりナイフがなくなったことですっかり動転し、芽衣子を抑えつけてる手の力を緩めた。
俺はすぐさま芽衣子の肩を掴んで男から引き離すと、その身体を久留米の元へドンと押しやった。
久留米はその様子に驚き目を見開いていたが、自分の方に倒れ込んでくる芽衣子の身体を慌ててキャッチした。
よし、これで芽衣子は大丈夫だ。
俺はそれを確認すると再び男の方に向き直り、そのムカつく面に渾身の一撃を食らわせてやった。