君をやっぱり守りたい-2
俺の目の前に、ゴツゴツと筋肉質のたくましい腕がニュッと現れた。
その腕は俺より早く男の首根っこを掴み上げ、芽衣子の身体からそいつを引き剥がすと、そのまま後方へと引きずり出した。
「あ……」
芽衣子はそう声を漏らし、ぶわっと涙を溢れさせて薄暗い街灯に映るシルエットを見上げた。
つられるように、俺も芽衣子の視線の先を追うと、自然と口から
「久留米……」
と声が漏れた。
久留米は多分走って来たのだろう、肩で息をしていた。
奴は、その荒い呼吸もお構いなしに、今度は男の襟刳りを掴んでその身体を立たせると、思いっきり顔面に拳を突き立てた。
男の身体は軽々と吹っ飛ばされ、塀へと激突した。
「てめえ……何やってんだ……」
久留米の声は怒りで震えていた。
そして奴は顔面ストレートを決めたにも関わらず、怒りはなおも治まらないようで、さらに倒れ込んだ男の元へと歩みを進めていった。
「くっ、来るな!」
男は涙目になりながら、流れる鼻血を左手で抑え、もう片方の手で握ったバタフライナイフをやたらめったらに振り回して威嚇していた。