君にしてきたたくさんのひどいこと-1
◇ ◇ ◇
「ねえ、これどういうこと?」
寝起きの頭と身体を働かせるため、熱いシャワーを浴び終えて、パンツ一丁の姿で現れた俺を待ち受けていたのは、目をつり上げていた芽衣子の姿だった。
「ん、どうした?」
身に覚えがあった俺は、風呂に行ってる間に携帯でも見られていたのかと少し焦りながらも、動揺を悟られないようになるべく平静を装った。
しかし芽衣子が手に持ってるのは俺の携帯なんかじゃなく、自分のピンク色の携帯だった。
「どうしたもないわよ、これ見なよ」
芽衣子は叩きつけるように自分の携帯を俺に寄越してきた。
芽衣子の様子から、ろくでもないことがこの携帯の中に入っているのは明白だが、なかなか中身を見る勇気が出ない。
ヘラッと笑ってごまかすも、芽衣子は顔色一つ変えずに顎をしゃくって携帯を見るよう促すだけ。
ごまかしは通用しないと諦めた俺は、目を細めて恐る恐る携帯の画面を見た。
そしてそれを見た瞬間、一気に背中がうすら寒くなったのである。