君にしてきたたくさんのひどいこと-9
そっと玄関のドアを開けた。
鍵を持たずに出てきてしまったから、芽衣子が締め出してしまったんじゃないかとヒヤヒヤしたが、安堵のため息を漏らしながらそっと中に入り、部屋のドアを開けた。
「……芽衣子」
彼女は横たえた身体を毛布にくるませ、壁際の方を向いたまま黙っていた。
時々鼻をすすっている様子から、泣いていることが窺える。
俺はその姿に少し怯みながらも、ガサッとレジ袋をテーブルに置くと、ベッドの淵に座って彼女の顔を覗き込んだ。
「芽衣子」
俺が毛布越しに芽衣子の身体に触ると、彼女は大げさなほど身体をビクッと強張らせ、さらに毛布の中に潜り込んでしまった。
……俺のしたことに相当怯えている。
後悔でいっぱいになった俺は、小さく息を吐いてから、
「ごめんな、殴ったりなんかして」
と柔らかい口調で謝った。
しかし、彼女は返事もせず、身体を動かそうともしない。
このまま俺の謝罪を受け入れてくれないのでは、と思うと不安で腹がチクチク痛んできた。