君にしてきたたくさんのひどいこと-6
「お前が俺のことほったらかしにするからだろうが!
帰ってきたら疲れたばっかで、ちっともヤらせてくんねえし、どこで発散させろってんだよ!」
今思えば、とんでもない逆ギレだったと思う。
芽衣子を朝から夜遅くまで働かせる状況に追い込んだのは他でもない俺なのに、相手にしてくれない苛立ちをぶつけるのはお門違いもいいとこだ。
でもこの頃の俺はそこまで気が回らず、浮気をしたのを芽衣子のせいにして苛立ちをぶつけるだけだった。
そこまで言うと彼女は目を潤ませ始め、それを見た俺はまた自然と舌打ちが出た。
「いいよな、女って。
泣けば被害者になれんだから」
すっかり頭に血がのぼっていた俺は、ベッドの上で震えている彼女の胸ぐらを掴んだ。
また殴られるのではと、芽衣子の顔が恐怖で引きつる。
この恐怖で歪んだ顔が俺を責め立てているような気がして、またムカついてきた俺は、芽衣子の身体を壁に突き飛ばした。
小さな呻き声を上げる彼女に胸がズキッと痛んだが、今さら引っ込みがつかなくなってしまった。
「あー、マジうぜえ」
俺はそう捨て台詞を吐いてから、ベッドの脚をガンと蹴り上げ、乱暴に着替えを済ますと、そのまま外へ出て行った。