君にしてきたたくさんのひどいこと-5
俺は必死で芽衣子に弁解をしようとしたが、彼女はすっかり頭に血がのぼっていて、言い訳する隙すら与えてくれなかった。
彼女は散々わめきちらしてから、
「もうやだ、別れるから今すぐここから出てってよ!」
と、叫んだ。
“別れる”なんて言葉は、俺達が付き合って来て一度たりとも口にしなかった。
それほど俺達はうまくいってたし、別れることなんて考えたこともなかった。
だから、突然芽衣子がそんな馬鹿げた言葉を言ったことが、やけにムカついてきたのだ。
そんな言葉、軽々しく口にするもんじゃねえだろ。
気付いたら俺は、芽衣子の頬に思いっきり張り手をかましていた。
芽衣子の身体がベッドに倒れ込む。
そして、一瞬にして沈黙が訪れた。
芽衣子は今の状況が信じられないといった呆然とした顔で、殴られた頬を抑えながら俺を見ていた。
そんな彼女を見ていると、舌打ちが漏れてくる。
俺だけが悪いわけじゃないんだ。
そう思いながら、芽衣子を睨んだ。