君にしてきたたくさんのひどいこと-2
『茂く〜ん、こないだは楽しかったね〜!
今夜あたり、またお泊まりできそう?
駅前のラブホ、リニューアルオープンで今なら千円割引なんだって(笑)
なんならあたしがホテル代出してあげるから、今日あたり行こうよ!
こないだのだって芽衣子にはバレてないんでしょ?』
鮮やかなハートマークで飾られたデコメに目がチカチカして目眩がしてきた。
いや、クラクラするのはデコメのせいだけではない。
むしろこの内容こそが、頭の中の意識を異次元へと追いやってしまうほどの破壊力を持っていた。
「これ、エミから送られてきた間違いメールだと思うんだけどさ。
なんで茂の名前出て来てるんだろうね?」
「さあ……。茂なんて名前、どこにでもあるからなあ」
芽衣子は冷ややかな眼差しを俺に向けてさらに続けた。
「そういえば、こないだ茂、朝帰りしてたよね」
「ああ、久留米ん家で麻雀やってたからなあ」
平静を装っても汗がドンドン流れてくる。
こないだの朝帰りした理由を自分なりに用意していたのだが(もちろん久留米には未承諾)、今さらこんな嘘が通じるわけもない。
やがて芽衣子の舌打ちする音が聞こえてきた。