君にしてきたたくさんのひどいこと-10
芽衣子に捨てられてしまうイメージがふと浮かんで、これからの自分の身の振りを想像するとたまらなく怖くなった。
芽衣子の存在なくして、今さら社会に飛び込むのは並大抵の度胸がないと出来ないだろう。
やっぱり芽衣子と別れるなんてどうしても考えられなかった。
俺は許してもらうためならなんでもしようと心の中で決めると、ベッドから降りてフローリングの上で土下座をした。
芽衣子は床に頭をつけてる俺を見てるわけじゃないけど、自分の気持ちを態度で表すにはこれしかないと思ったのだ。
そして、震える声をなんとか振り絞った。
「悪かった、芽衣子! 俺、お前と一緒に居れなくてずっと淋しくて、つい魔が差してしまったんだ。
でも、エミに手を出しても虚しいだけだった。アイツに芽衣子の代わりを求めたってやっぱりダメだ。
俺は芽衣子じゃなきゃダメだって思い知らされたし、芽衣子以外の女はもう考えられねえんだ。
だから、頼む! もう一度だけチャンスくれ。
もう二度と浮気はしないし、今度はちゃんと仕事見つけて、お前がアルバイトしなくてもいいように頑張るから。
そしたら二人で居れる時間が増えるはずだろ?」
俺は心のままに思いをぶちまけ、精一杯の詫びを入れ、これからの決意を口にした。