ハジマリ-5
「ねぇ、下は、イサムから脱ぎなよ」
「なんだよ、俺ばっかりなんて、ズルいぞ」
「脱いだら、イサムがあたしのパンツ脱がして」
「――えっ?」
「大人は、女の服を脱がしてあげるのよ。わかるでしょ?」
「なんとなくは、わかるけど……でも、俺は、大人じゃねぇし」
「それでも、するの。ほら、早く」
イサムは納得いかないような顔をしつつも、半ズボンに手をかけた。
そこまで彼を夢中にさせていることに、満足感を覚えた。
大人じゃないとイサムは言うが、あたしはそうとは思っていない。
だって、もう子供は作れてしまうのだから。
勿論、実際にはそれはやってはいけないことだ。子供を育てていくことが出来ない。
いろいろ勉強して社会に出てお金を稼がないと、子供はまず育てられない。
そういう意味では、まだ子供だ。でも、体は、もう子供ではない。
イサムが半ズボンを脱ぎ終えていた。
小さな半ズボンのような、灰色のパンツが丸見えになっている。
昔は白いブリーフを履いていたが、今はイサムが履いてるのはそれではなかった。
男の子のパンツなどよく知らないが、成長すると履くものが変わるのだろうか。
イサムは手で、股間を恥ずかしげに隠している。
それを見て、あたしの股間にも何か満ちてくるものを感じた。
イサムはきっと、あそこが膨らんでしまっているのだ。ボッキというヤツだ。
男子が冗談でそんなことを言い合っているのを聞いたことがあった。
ちょっと詳しい女の子からも、どういうことなのか教えてもらったこともある。
漫画でも見たし、お父さんの本でそのかたちもなんとなく知っている。
イサムはモジモジしたまま、立ち尽くしていた。
「何よ、早く脱いじゃいなさいよ」
「お前、俺が脱いだら、ほんとうに脱がしていいんだな?」
「約束は、守るわ」
あたしがそう言うと、イサムは意を決したような顔をした。
これまでにいろいろとイサムとは約束をしてきたが、あたしからそれを破ったことはない。
たぶん、彼もそうだったように思う。腐れ縁だが、それなりに信用はしていた。
そして、イサムの指がパンツにかかって、ズルリと引き下ろした。
一瞬、びょんと股間から飛び出したように見えた。
イサムはパンツを脱いでしまうと、手でその部分を隠してしまう。
あたしは、思わず手が動いてしまい、その隠している部分を引き剥がそうとしてしまった。