ハジマリ-15
「あ〜あ、イサムったらこんなに出しちゃって、どうしよう」
「な、なんだよ、お前だってさっき泣きながらお漏らししてたんだぞ? 覚えてないのか?」
「う、うるさいわね……!」
あたしはイサムの出した黄ばみがかったエキスで汚れたベッドのシーツを見て慨嘆した。
お母さんが帰ってくるまでに、このシーツは交換しておかなければならない。
自分があの瞬間にどうなったのかは、あんまり覚えていなかった。
でも、何かを心地よく放出してしまっていたような気はしないでもない。
そんなことを考えていると、イサムはいそいそと着替え始めていた。
あたしは、まだハダカのままだ。
あっと思ったが、イサムの前でハダカでいることになんとなく慣れてしまっている。
結構恥ずかしいことをしてしまったからだろうか。
イサムの萎んだオチンチンを見てふと思ったが、お父さんのエロい本で見たものとイサムのは微妙に違っているような気がする。
先っちょが、皮にくるまっているというか、そんな感じだと思った。
「ねぇ、イサム。あんたの、その、アレって、少し変じゃない?」
「えっ!? 何がだよ?」
医者から大病を宣告された患者のような顔で、イサムはあたしを見つめた。
やはり、男の子にとっては大事な場所だろうから、気になるのだ。
「あのね、その先っちょの部分って、皮がぺろって、剥けるんじゃないの?」
「ええッ!? そんなの、痛いじゃん、絶対」
「でも、たぶん、そうなるのよ」
「――何でそんなこと、お前が知ってるんだよ」
「そりゃあ……ていうか、あんたが知らなすぎるのよ!」
イサムはあたしに背を向けて、半信半疑でアレを剥いているようだ。
いてっ、などとしきりに痛がっている。よくわからないが男も大変なんだなと思った。
でも、たぶん剥けるようにならないと、次の段階のことは出来ないから仕方がない。
もしそれが出来るようになったら、ボッキしたアレを口に含んであげよう。
今日はシーツに擦りつけてて可哀想だったし、あたしも口でしてもらったから。
もっとも、それがいつになるのか、まだわからないが。
「イサム」
「なんだよ?」
「もう、ユキちゃんの着替えるとこ、覗いちゃ駄目だよ」
「だから、覗いてないって言ってるだろ? 誤解だよ、誤解」
「あとさ」
「なんだ」
「また、遊ぼうね」
あたしがそう言うと、イサムはドギマギした顔で一拍置いてから、おう、と答えた。
それを聞いてから、あたしもようやく服を着始めた。思わず鼻歌が出てしまう。
この次は、スカートを履いておこうかな、そんなことを思いながら鼻歌を奏でた。
−完−