ハジマリ-10
「もう、何をするのよ!」
「立ちっぱなしで疲れたんだろう? だから、これなら寝たままで――」
そう言うと、イサムはあたしのショートパンツに手をかけて、強引に脱ぎおろそうとする。
あたしはなんだか、態度が急変したイサムを目の当たりにして恐怖を感じた。
ちょっと、からかいすぎたかもしれない。
イサムの手がショートパンツのホックにかかり、ズルッと無理やり引き剥がされた。
抵抗する暇もなかった。
ブラと一緒に買った、ちょっとオトナの薄い桃色のショーツが丸見えになっている。
あたしは片手で胸を、片手で股間を隠したままイサムを目で牽制した。
イサムはそれでもお構いなしに、狩りの練習をする子供の肉食獣のような目をして、あたしのショーツまで強引に脱がそうとする。
こんなんじゃ、嫌だ。このまま無理やり脱がされるのは、全然納得出来ない。
あたしは股間に手を伸ばしてくるイサムの首筋に、寝そべったままの体勢から足を伸ばしてプロレスラーばりの延髄斬りをかましてやる。
イサムは、ぐほっ、などと唸ってさすがに首筋を押えて痛がっていた。
「ちょっ、お前、何しやがるんだ!」
「それは、こっちのセリフでしょう? イサムったら、怖いわよ」
「お前が約束を守らないからだろう?」
「そんなに強引にされたら、女の子は怖がるでしょう? そんなこともわからないの?」
「はぁ? ミサが怖がる? そんなとこ、見たことねぇよ」
「――優しくしてくれないなら、もうこれ以上は見せてあげない」
「チェッ、勝手なヤツだなぁ……わかったよ、言うとおりにするよ」
「じゃあ、イサムもあたしの隣に来てよ」
イサムはのろのろとベッドに乗っかり、あたしの傍らに寄り添った。
寄り添ったイサムはどうしていいのかわからずに、オロオロとしている。
「なぁ、もう脱がせて、いいのか?」
「その前に、その、いろいろなとこ、触ったりしなさい」
「さ、触る? どこを?」
「それは……だから、いろいろよ。自分で考えなさい」
イサムは迷った末に、ペタペタとあたしのお腹を触ったりし始めた。
胸や太ももやアソコに触るのは彼なりに遠慮があるのだろうか。
イルカとのふれあい体験のように、おっかなびっくりペタペタと触っている。
特に気持ちよくは無かったが、恐る恐る触ってくるイサムが少し可愛らしくもあった。