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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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-1

 夜の帳(とばり)が下りる頃、弓のかたちに仰け反った白い肢体が、ベッドのそばで腰を揺らしていた。

「あん、ふっ、ふん、ううん、はっあっあっ、ああ、いっあっ……」

 野獣の生殖器そっくりの道具を陰部へ誘い、華奢(きゃしゃ)な体が沈んでは浮き、沈んでは浮き、あられもなく潮しぶきを吹いている。

 ねっとりと絡みつく音は、いつまでも糸を引いて切れることがない。

 ソフトなタッチでクリトリスの粒を撫でていけば、過激なまでの快感で応えてくれるのだ。

 媚薬はたっぷりある。

 覚醒した体をさらに目覚めさせるには、薬を追加しなければならない。

 あたしの中にも魔女が棲んでいるのに、どうして気づいてくれないの──。

 彼女は焦っていた。

 快楽が脅威に感じたこともある。

 でもなぜかいつも最後まで逝かないと気が済まないのだ。

 卑猥な言葉で打ちのめされたい。
 レイプよりも酷い目に遭わせて欲しい。
 ザーメンで溺れたい。
 そこに愛情なんていらない──。

 うつろな瞳に涙が浮かぶ。
 それは絶頂を意味していた。
 体が渇いて、喘ぎも渇いていく。
 それでも愛液は止めどなく溢れてしまう。

 偽ったり、疑ったり、惑わせたり、化かしたり、そんなまわりくどいことはしなくていい。
 あたしをぜんぶ食べて欲しいだけ──。

 生きているだけで気持ちがいい、そんな体に調教して欲しいのだ。

 あたしは最後の魔女。
 はやく、はやく来て──。

「ああ、いい、いくう、いくん、いくん、いいっ……」

 やたらと女目線を意識した造りのラブホテルとかなら、それなりに声を上げたってかまわないだろう。

 それが壁の薄いアパートともなれば、セックスやオナニーにだって気配りがはたらいて、満足のいく快感は得られなくなる。

 しかし今はどうかしていた。

 もうこれ以上ないほど上り詰めたあとに、切ない喪失感が膣から子宮に向かって這い上がる。

 そして声を上げる。

 媚薬に依存した彼女の、かわいそうな体質だった。

「はあ、はあ、あうん、いやあ、もっと、あん、ああ……」

 まるい背中をさらにまるめて、引かない快感に甘えつづける。

 その甘えにつけ込むように媚薬が神経を冒して、彼女はタブレット容器の錠剤を口にふくむ。

 加えてローションボトルの中身を局部へ塗りたくり、火のついた体を鎮めるように自慰行為をはげしくしていった。

「あん、うん、おか、しく、なっちゃう、うう……」

 ただ悔いを残さないために、女に生まれて来れた奇跡に、感謝の行為をくり返すのだった。


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