投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 29 デリシャス・フィア 31 デリシャス・フィアの最後へ

-4

 焦げ茶色のクラシックカラーが鮮やかなメタリックの車体に、真新しい初心者マークが貼りついている。
 タイヤの溝も深いジグザグ模様を描いているし、どこかをぶつけたような傷やへこみも見あたらない。

 バックミラーに可愛らしいチャームをいくつもぶら下げて、ステアリングカバーのキャラクターが若い女性ドライバーを仄めかしている。

 晴れた日の昼間だというのにヘッドライトを点けっぱなしにして、ワイパーはフロントガラスをから拭きしている。

 車内をうかがってみると、運転席と助手席に人影はなかった。
 後部座席に目をやれば、スモークガラス越しに女性の姿が確認できた。

 若い女性だった。おそらくこの車の持ち主だろう。

 事故車でないところを見ると、酒を飲みすぎて酔いつぶれたまま眠ってしまったか、あるいは酔いを醒ましているのかもしれない。

 だからといって、エンジンもかけっぱなし、それに駐車スペースから大きくはみ出しているこの状況は、迷惑以外のなにものでもない。

 トラブルに巻き込まれるのはごめんだが、このまま放置しておくのも後味が悪い。
 意を決して窓をノックしてみる。
 手指の骨が鈍い音をたてた。

 しかし車内の女性は動く気配すらない。
 泥酔していて聞こえないのだろうか。

 今度はドアに指をかけてみる。
 するとドアはあっけないほど軽々と開き、新車の匂いと芳香剤の香りが混じった雰囲気が、たちまち外へ漏れ出してきた。

 リアシートに横たわる女性。
 その有り得ない姿を目にしたとき、さっきまでの正義感は跡形もなく消滅していた。

 込み上げてくる悲鳴を呑み込んで、彼女のことを観察してみた。

 両手足首には無機質な手錠、脱げかけのシャツからのぞく乳房、そして彼女にふさわしくないものが局部を犯している。

 回転しながらのろのろとうごめくその玩具が、恥部から溢れる分泌液を白く泡立てていた。

 ねちねち、ねちねち、と陰湿ないたずらに掻きまわされる膣をまもりきれない、薄い肉のひだ。
 薄目を開いて潤んだ瞳はどこを見つめているのか。
 口元には唾液のすじが糸を引き、萎れそうな声を、うっ、うっ、と引きつらせている。

 おそらく彼女の体は限界を超えていたのだろう。

 シガレット電源と直結させた異様なバイブレーターによって、逃れられない快感と、女性器を持って生まれてきた宿命を感じているのかもしれない。

 剥がれ落ちたネイルチップが意味もなくきらきらしていた。
 座席のクッションに新しいシミができるたびに、彼女のことが哀れに思えてならない。

 淫らな実験を施されたまま棄てられた、人間の姿をしたマウスのようだった。


デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 29 デリシャス・フィア 31 デリシャス・フィアの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前