５-4
ブラック色の濃い検索サイト『ディープ』のフィルターを通して、美山砂羽と植原咲のアダルトブログが見つかった。
第一のレイプ事件の被害者と思われる美山砂羽の裏の顔とは、口いっぱいに男性器を頬張りながら、自らの膣内には別の男性からの仕置きを受け入れる姿だった。
淫らに下腹部が割れて、子どもでも大人でもない半熟の体から蜜を垂らし、体中の穴を塞がれた十九歳の私生活を赤裸々に露出している。
「信じられない、こんなに可愛い顔して……」
彼女の体の隅々にまで視線を巡らせて、花織は思ったままを言葉にした。
「苦手なら、無理して見なくてもいいんだぞ？」
小田は言うが、花織の耳には届いていないようだ。
花織のことをあらためて異性として意識してみて、小田はあらぬ妄想を思い浮かべる。
この服の下には、美山砂羽とおなじような乳房と女性器があるのだろうか──。
精子を持った自分と、卵子を持った彼女が、息のかかる距離でおなじ画像を見ているのだから、ベクトルもおなじ方向を向いているはずだと小田は考えていた。
「これから見せるのが、徳寺麻美のブログだ」
小田の言葉に花織が頷くと、画面があわただしくスキップして、あっという間に目的の座標を映し出した。
「またさっきみたいに無修正の画像を見てもらう。気になるところがあったら遠慮なく言ってくれ。この中に、犯人につながる手掛かりがあるかもしれない」
「うん……」
返事をしたものの、花織はすぐに立ち上がる。
「ごめん、ちょっと、トイレ」
ああ、と表情だけで応答する小田。
そして見るつもりもないテレビをつけて、音量を上げる。
花織に気を遣ったつもりだった。
マグカップが空になっていたので、ついでにインスタントコーヒーを作りなおすことにした。
パソコンとは勝手が違い、こちらはなかなか手際が悪い。
コーヒーの粉があちこちに散らかってしまう。
ふう、とため息をついて、布巾が入っていそうな引き出しを探る。
こんなところで赤点を食らうわけにはいかない──。
小田は適当な引き出しに目をつけると、躊躇わずに開けてみた。
見れば奥のほうに、それらしいものがある。
片手を突っ込んで、ごっそり中身を取り出す。
「うん？これはなんだ？」
布巾に絡まるように、細いコードが一緒に出てきた。
収納というよりは、隠してあるといった感じに見える。
妙に興味をそそられるそれをたぐってみて、小田は大いに後悔した。