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パソコン画面が一瞬、暗くなり、そこへサムネイルがフェイドインされる。
「やばいシチュエーションがあったりするんじゃないだろうな」
黒城がおどけて言った。
「女の裸は見飽きたんじゃなかったのか?」
「不感症には薬が必要だからな」
サムネイルで確認できる範囲だけでも、その肌色の占める割合から想像すれば、露出は少なくないだろう。
黒城は缶ビールの飲み口に歯を立てて、無作為に画像の一つを拡大させた。
「この子が麻美ちゃんか」と黒城。
「顔が出ていないんじゃ、彼女かどうかはわからないぜ」
「小田にはわからんだろうな。二十歳の等身大の色気ってやつがさ」
「女の趣味を持ち込むなよ」
呆れ顔の小田は、視線をパソコン画面に戻した。
拡大された画像には、一人の女の子が写っている。
姿見の鏡の前に立って、そこに映った私服姿の自分を携帯電話のカメラで撮影したアングルである。
肝心の顔の部分が携帯電話で隠れてはいるものの、どうやらここに写っている人物が徳寺麻美に間違いなさそうだ。
また別の画像では、ベッドの上でランジェリー姿になってみたり、ネイルアートの接写だったりと、彼女の私生活が窺える仕上がりになっている。
画像はまだまだあった。
ページを送っていくうちに着衣は姿を消して、ついにありのままの彼女の素肌があらわれた。
柔らかな脂肪がはじけるバストのふくらみと、たるみのない豊かなヒップラインから伸びる脚線。
どこを切り取っても無駄な肉がない。