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マウスを操る小田の出先が素早く動いて、いつしか女を愛撫するときの動作とダブりはじめる。
違法な無修正動画や出会い系チャットの安全性をうたうバナーには目もくれず、検索にヒットしたブログサイトにアクセスしてみる。
そこはマニアのあいだではかなり知名度の高いサイトらしく、人妻、二十代、露出、などのカテゴリーで絞り込めば、自分好みのブロガーにヒットする仕組みになっていた。
『出会えるブログサイト』と推しているだけあって、たとえばSMでいうところの調教師や性奴隷を募れば、高確率で相手との交渉ができてしまうというのが最大の魅力でもあるらしい。
会員登録をするには、氏名や連絡先などの個人情報が必須である。
それこそブログ上に個人情報が表示されるわけではないが、『ディープ』に個人名を入力して検索すれば、さまざまなフィルタリング機能が無効になり、確実にターゲットを特定できてしまうのだ。
そうした能力を熟知した上で、『徳寺麻美』で検索してみたところ、このサイトにヒットしたというわけである。
「麻美ちゃんは出会い目的でこのサイトに登録して、容疑者の数馬良久、あるいは彼以外の誰かと出会って、レイプされたっていう筋書きだろうな」
黒城が神妙に言った。
「そしてこれが、徳寺麻美のブログだ」
小田の示した画面にあらわれたのは、ピンク色を基調としたスイーツカラーでデコレーションされたブログページだった。
最終更新日は、レイプされる一週間前のようだ。
「ここにフォトブックがある。彼女の顔出し画像でもアップされていればいいんだが」
小田は気分が乗ってきていた。
久しぶりにわくわくしている自分が可笑しかった。
「今さら女の裸を見ながら擦(こす)ってもさ、虚しいだけだぜ」
「黒城でも学習するんだな」
「こう見えて俺、不感症だからさ」
「初耳だな」
「致命的だよ」
黒城が白い歯並びを見せて笑う。
すぐさまマウスをすべらせると、フォトブックのアイコンをたたいた。
読み込み中の数秒がやけに長く感じられる。
二人は思わず唾を呑み込んだ。