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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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-1

 花織と優子は、ラクロス部の部員たちとスポーツジムで汗を流したあと、小田が指定してきた店で他愛のない話をしていた。

「優子の話、あたしにはよくわかんない」

「たとえばだけど、激しい運動とかしているとね、知らないうちに処女膜が破けちゃうんだって」

「ふうん」

「痛くも痒くもないらしいんだけど、それもなんだか味気ないよね」

「そうかなあ」

 低アルコールのカクテルがまわってきたのか、花織の頬は仄かに火照り、ほかほかした気分になっていた。
 陽の落ちた薄暗い窓の外では、街の夜景がちらちらと灯り、ちょうどバースデーケーキの蝋燭(ろうそく)のようにビルや歩道を飾っている。

 間もなく店の出入り口のドアベルが鳴り、一人の青年が入ってきた。
 彼はウエイトレスとかるく口を利くと、申し訳なさそうに太い眉毛を曲げ、花織と優子のそばの椅子に座る。

「小田くん、ちょっと遅いんじゃない?そっちから呼び出しておいて、この扱いは何?」

 真っ先に口を開いた優子が顎を突き出して、小田のほうをのぞき込む。

「ごめん、いろいろと調べものがあったもんだから、時間より遅れてしまった」

 悪びれたふうの小田は、まだ少し息が上がっている。

「二人は何を飲んでるんだ?」

「そんなことより、黒城くんは一緒じゃないの?」

 カクテルで湿らせた唇を微動させて花織が訊いた。

「あいつは今日、バイトがあって来られないんだ。それでさっそくなんだが、例の事件のことを報告させてくれ」

 小田はウエイトレスにジントニックを注文すると、収穫あり気な目を二人に向ける。


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