君に忍び寄る魔の手-7
更に悪いことに、駐車場の隅にはぼうぼうと雑草が伸びきっていて、見通しが悪くなっていた。
顔も知らないが、やる気のないこの食堂の店主に思わず舌打ちが漏れた。
いや、やる気がないのは勝手だけど、こんな茂みに引きずり込まれても、ちょっとやそっとじゃ気付きにくいような環境を作っているなんて大問題じゃないか。
そしてそんな不気味な場所に、きっと彼女はいる。
ふと、血まみれで倒れ伏す芽衣子の姿のイメージが脳裏に浮かんで、吐き気が込み上げてきた。
それをなんとかこらえるように生唾を飲み込んで、キツく目を瞑りながら一歩一歩震える足を進めていく。
駐車場の入り口に立った俺は、小さく息を吸い込んでから、思い切って目をパッと開け、ハッと息を呑んだ。
芽衣子は駐車場の一番奥まった所にいた。
――しかも、見知らぬ男に左手で口を塞がれ、組み敷かれながら。