君に忍び寄る魔の手-4
ペタペタと歩く芽衣子の後ろ姿をじっと見つめる。
芽衣子を殺す殺すと息巻いていたものの、それは俺が失敗する大前提があったからだ。
変な話、どうせ失敗するからという確信があったから、俺は安心して芽衣子の命を狙えたのだ。
でも、本当に芽衣子が通り魔かなんかに殺されるようなことになったら……。
ふと、背筋に悪寒が走る。
一緒に生まれ変わるため、芽衣子に死んでもらいたいとずっと思っていたけど、彼女が殺される時の様子なんかを想像すると、たまらなく怖くなった。
久留米に対する嫉妬から始まった、芽衣子を殺す計画は、なんとも歪で行き当たりばったりなもんだ。
俺達が生まれ変わったって、また恋人になれる保証なんてないのに、わずかな可能性だけのために芽衣子を殺すことが間違いであるような気がしてきた。
俺はピタリと立ち止まって俯いた。
……俺のしようとしてることは、オモチャを取られたくないと強情を張るガキと大差ないのかもしれない。
芽衣子はオモチャじゃなく一人の人間なのに、俺のワガママでその命さえ奪おうとしているのは、やはり間違いなのかな。
俺はただ、芽衣子を愛していて、ずっと一緒にいたいだけなんだけど、それを望んじゃいけないのだろうか。
そう考えてから再び顔を上げ、前方に目を向けた。