幼児返りタイム 後編-6
真雪は少し考えて言った。「じゃあさ、その時あなたがあたしを優しく抱いて、愛してくれたのも覚えてないんだね?」
「ご、ごめん」龍は申し訳なさそうに頭を掻いた。
真雪は龍の首に腕を回した。「あたしこそ、昨夜来られなくて、ごめんね。約束してたのに……」
「気にしないでよ」龍は笑った。「それより、君にプレゼントがあるんだ」
「プレゼント? 何、なに?」
「これ」龍は枕元の小箱を手に取って真雪に手渡した。「開けてみて」
「うん」真雪は受け取った箱の蓋をとった。「わあ! かわいい! チェリーのピアス」
「思い出のチェリー」
「あたしと龍がお互いに食べさせ合った、初めてのチェリーだね」
「へへ。あれから5年。俺たちの記念日」龍は照れたように赤くなってにっこり笑った。
「嬉しい! ありがとう、龍、大好き!」真雪はまた龍に抱きついた。そして彼の耳に囁いた。「抱いて、龍」
龍は真雪の身体をそっと横たえ、ゆっくりと身体を重ねて熱いキスをした。
2013,8,16初稿発表
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