幼児返りタイム 前編-5
龍と真雪は全裸のまま、二人並んでベッドに仰向けになっていた。
真雪は龍に顔を向けた。
「龍、あたし、明日から泊まり込みで出かけなきゃなんない」
「そうだったね。いつも行ってる酪農研究所でしょ?」
「うん」
「でも、泊まり込みでやるような仕事なの?」
「新品種の牛の遺伝子に関する調査に立ち会うことになっててね。牛乳の品質検査の結果が出るのに時間がかかるんだよ」
「そうなんだ……」龍は少し不安そうな表情を真雪に向けた。「で、いつまでいるの? 向こうに」
「金曜日には帰れるよ、たぶん」
龍は小さな声で言った。「……ぎりぎりだな」
「え? 何が?」
「いや、何でもない。ちゃんと金曜日に帰ってくるんだね?」
「何? 『ちゃんと』って」
「いや……」
真雪は身体を龍に向け直した。
「金曜日、帰ってきたら龍んちに泊まっていい?」
龍の顔が輝いた。「もちろん。俺も今言おうとしてたとこ。絶対来て、うちに」
「わかった」真雪は微笑んだ。「龍の好きな牛乳ももらって帰るね」
龍は肩をすくめた。「俺は真雪さえ抱ければ、あとは何にもいらないよ」
「あたしのカラダだけ?」
「だから違うってば」
二人は笑って、またキスをした。