幼児返りタイム 前編-2
「ねえねえ、真雪はさ、なんで俺なんかと付き合う気になったの?」
「どうしたの? いきなり」ベッドに龍と並んで腰掛けていた真雪は、アソートチョコレートをつまんだ手を止めて、龍の顔を見た。
「いや、だって、真雪が中学生だった頃や高校時代に、気になる人とか、いたんじゃないの?」
龍と真雪は日曜日の夜、シンプソン家の真雪の部屋で過ごしていた。
真雪は爽やかな表情で言った。「あたし年下好きだから」
「学校にも年下はいるじゃん……」
「なに? どうしたの? 今日は妙に突っ込んでくるじゃない、龍」
「だってさ、よく考えたら俺って君のいとこでしょ? あんまり恋愛対象にならないんじゃない? 普通」
「安心感……っていうか、心の開放感がもてるんだよ、龍には。ちっちゃい頃からよく知ってるしね。でも、あなたが中一の時、一緒にハワイに家族旅行で出かけた時から、急に気になりだしちゃったんだよ」
「急に?」
「うん。前から龍のこと大好きだったけど、なんて言うか、ときめき始めた、っていうか」
「ふうん……」龍は照れたように微笑んだ。
「龍はどうなの?」
「えっ? 俺?」
「あたしのこと、何で好きになってくれたの?」
「実はさ、俺、すでに小学校の頃から君が好きだったんだ」
「いとこのお姉ちゃんとしてでしょ? それって」
「確かに小さい頃はそういう感じだったけどね。でも、思春期になって、女の子のカラダとかに興味が出てきた頃からは、もう君のことを女の子として好きになってたような気がする」
「ひどい! 龍はあたしのカラダ目当てでつき合ってたのねっ!」真雪はいたずらっぽく笑いながら龍を睨み付けた。
「そうだよ。俺は真雪のカラダを味わうのが目的でつき合ってる」龍は真雪に抱きついた。
「それでもいい。あたし、龍に抱かれると最高に幸せだって思うもん」
龍は笑いながら真雪の頬を両手で包み込み、その目を見つめた。「冗談だって。真雪の全てが、俺、大好きだよ」
龍は真雪にそっとキスをした。