君が恋人に変わった日-1
やる気のない我がサークルにも、ついに冬が訪れ、待望のスノボ合宿が行われることになった。
二泊三日のスケジュールで向かったのは、岩手にあるデカいスキー場だった。
昨シーズンは大学受験のため、縁起を担ぐ両親に“滑るなんて真似やめてくれ”と散々止められていたから、約二年ぶりとなるスノボに俺は、すっかり浮き足立ってソワソワ眠れないほど楽しみにしていた。
深夜に出発したバスに揺られ、目的地に着いたころは太陽が高く昇っていた。
荷物を旅館に預け、すぐさまスキー場に向かった俺達サークルご一行は、眩しく輝く白銀のゲレンデに大歓声をあげた。
リフト券売り場の近くで俺達サークルのメンバーは輪になって、軽く準備運動を始めた。
それをしながら、昼食の集合時間や諸連絡、注意事項をサークルの部長が一通り説明し、みんなに二日分のリフトのフリーパスを配ってきた。
そして最後に部長は“あとは自由行動、滑れない奴は滑れる奴を捕まえて教えてもらってね”と、なんとも無責任な言葉だけをメンバーに残し、颯爽とリフト乗り場に並んで行った。
勝手知ったる上級生は、キャイキャイ騒ぎながら早速自由行動に移り、リフト乗り場に並んだり、緩やかな斜面を昇り始めたりした。
ポカンと口を開けたままなのは俺達一年生だ。
「……大学ってホント自由なんだな」
誰かがぽつりと呟いて、みんながうんうんと頷いた。