君が恋人に変わった日-7
◇ ◇ ◇
「あー、楽しかったね! 筋肉痛がキツいけど」
芽衣子がスナック菓子をポリポリ食べながら言った。
帰りのバスの中、俺達三人はスノボ合宿の成果について、和気あいあいと話し合っていた。
合宿最終日である三日目は、午前10時にバスで旅館から発つことになっていた。
そんなギリギリの予定にも関わらず、俺と久留米は早起きをし、朝食を抜いてまで一滑りしてきたのだ。
二人して、自分ができないグラトリ(=グラウンドトリック)という地形を活かしたトリックをいくつか挑戦したり、得意なグラトリを披露してみたり、コースを別れてどちらが先にゴールできるか競争してみたりした。
久留米と滑っていると本当に楽しくて、あっという間に出発時間がやってきてしまった。
しかし、まだまだ滑り足りない俺達はこれで満足できなくて、冬休みはどちらかの実家に泊まり込んで、近場のスキー場に通いつめようと約束した。
俺達がボードを満喫してる間、芽衣子はお土産を見たり、バスの中で食べるお菓子を買ったり、サークルの友達と話をしたりして、のんびり過ごしていたらしい。
やがて出発時間になると、俺達はいち早くバスに乗り込んで真ん中あたりの一列を陣取った。
いちばん左の窓際に俺、その隣に芽衣子、通路を挟んだその隣に久留米が座る。
そして席に着くやいなや、朝食抜きですっかり腹が減っていた俺と久留米は、芽衣子の買ったお菓子をつまんだり、売店で買ったパンやおにぎりをがっつき始めた。