君が恋人に変わった日-3
「でもさ、お前あの二人の間に割って入る勇気あんの?」
久留米に言われ、俺と芽衣子は石澤さんの方を見やった。
そこには、おとなしそうな石澤さんからはイメージがあまりできない強面の彼氏らしき男が、彼女に付きっきりでスノボを教えていた。
石澤さんは怖い怖いと騒ぎながら彼氏の腕を掴んだり、フラフラしている彼女に彼氏が手を差し伸べかけてはわざと引っ込めたりなんかして、それは楽しそうにじゃれあっていた。
まあ、あれを見ていれば石澤さんと彼氏がラブラブなのは一目瞭然で、部外者が入る余地は全くなさそうだった。
しかし、あとは芽衣子のような全くの初心者仲間は他にいないようである。
混ざるならあのバカップルぐらいしかいないだろう。
「う……」
さすがにあれを見てしまった芽衣子も、少し尻込みしたらしい。
それを見た久留米は一人で小さく頷くと、俺に向かって
「茂、滑ってきていいぞ。
芽衣子はオレが見てるから」
と言った。