君が恋人に変わった日-2
そして戸惑い気味だった他の一年生も、徐々に動き始めた。
それぞれ仲良しグループに分かれてリフトに乗ったり、まずは慣れるため緩い斜面を昇ったりをぼちぼち始めていた。
「さて、俺らも滑りに行くか」
俺は芽衣子と久留米の顔を交互に見渡した。
すると、芽衣子がビクッと身体を震わせ、
「……あたし、実はスノボ初めてなんだよね」
と、申し訳なさそうに言った。
「一度も滑ったことねえの?」
久留米が芽衣子の顔を覗き込むと、ますますすまなそうな顔で頷いた。
「ああ……そっかあ……」
俺は少し落胆した声を出してしまった。
初心者ならば、さすがに芽衣子をほったらかしにして滑りに行くのはまずいだろう。
だが久しぶりの雪山に、俺はさっきからうずうずしていて気持ちは山の頂上の方に向いていたから、そんな声が出るのは仕方なかった。
芽衣子はそんな俺の気持ちを察してか、
「二人とも、滑ってきていいよ!
あたし、石澤さん達に入れてもらうから」
と笑った。
石澤さんは同じサークルの一年生で、やはり初心者らしく、リフトに乗らずにまずは緩やかな斜面でボードに慣れる所から始めるようだった。