君が恋人に変わった日-11
なんで芽衣子がそんな顔をするのか理解できずに、キョトンとした顔を彼女に向けていたら、やがて彼女は重そうな口をゆっくり開いた。
「だって、あたし手島くんや久留米くんみたいに上手に滑れないし、きっとこれ以上合宿が延びたって二人の足手まといになるだけだもん。
今日ゲレンデから戻って来た時の手島くん、本当に楽しんだって顔してたし、あたしがいない方がのびのびと滑れたんだと思うと、コーチに付き合わせたことが申し訳なくて……」
なるほど芽衣子は、自分が俺達のボードを滑る時間を削らせたと思っているらしい。
彼女がそんな風に申し訳なく思っていることを知ると、初日に久留米に芽衣子のコーチを押し付けたこと、二日目の自分の無責任な教え方が急に恥ずかしくなってきた。
多分俺のそんないいかげんさが、無意識に芽衣子をお荷物扱いしてしまって、彼女はそれを察知していたのだろう。
「なんだあ、そんなの気にしてたのかよ。だったら、もっと練習しようぜ。
冬休みに俺の実家に遊びに来りゃいいじゃん、今度は最後まで付き合うよ」
だからといって俺の性格上、真面目に謝れなかったので、また調子のいいことを言ってごまかした。
しかし芽衣子はいつものごとく呆れた顔になるわけでもなく、やけに殊勝顔になってゆっくりとこちらを見た。