T 記録の制服-2
・・・開かれるファイル・・・
ファイルは三つに分かれていた。
佐藤はまず初めのファイルを開く。
見慣れぬ風景や建物の画像、中には駅や高校、個人宅の様な物が合計20枚前後。
特に興味は引かないものばかりだが、不思議と人物はひとりも写っておらず資料的物なのかと思われる。
次いで二つ目のファイルを開く。
こちらは一見してかなり怪しいものである。
おそらく同一人物と思われる少女を、遠くから隠し撮りする様な構図の画像ばかり30枚近くある。
少女の服装は制服姿で、見覚えの無い制服から中学生とも高校生とも取れる微妙な年齢に見て取れた。
何れにしても、怪しい雰囲気が十分感じ取れる物である。
「ストーカー・・・?」
「変な物拾っちゃたなぁ〜」
佐藤からため息が漏れる。
でも画像の少女はかなり可愛い、遠目の画像を拡大するとそれが良く分かる。
メガネの似合う可愛らしい感じの少女。
好みのタイプと言っても良く興味がそそられる。
見慣れぬ制服を着用しているが、おそらく高校生だろうか?
見ようによっては中学生ともとれる。
いささか肩透かしを食らった感はあるが、最後のファイルを開く事にする。
・・・、すぐに息を飲む事になる。
佐藤の心臓が激しく高鳴り、我が目を疑う物がモニターに展開されていく。
先程の少女が被写体と思われる画像・・・
極小サイズであっても、それが何なのか瞬時に判断出来る。
最後のファイルが一番枚数も多く50枚はある。
一枚ずつ開いて行く佐藤の指先は僅かに震えていた。
開かれていく画像に改めて佐藤は驚愕し興奮を隠せない。
目に飛び込む画像が脳裏に焼き付いていく。
長い黒髪の少女、メガネの向こう側の端正な顔立ちはとても魅力的で可愛らしい。
着用している制服は、後で知った事だが中間服※1)と呼ばれるものらしい。
それが少女に良く似合い、よりいっそう魅力を惹き立てる。
しかし少女が写り込む背景が事態の異常さを連想させ、これから映し出される数々の画像がその重大さと事件性を容易に疑わせた。
少女が横たわるベットはどう見てもラブホテルのベットで、その背後にある室内風景もまさしくそのものである。
良く見ると少女は深い眠りについているのか、全身から力は抜け落ちぐったりしている様に見て取れる。
そして次第にそれが確信へと変わって行く事となる。
至ってオーソドックスなセーラー服ではあるが、それを纏う少女の美しさに佐藤は魅入られて行く。
少女の大人しく真面目そうな容姿から到底想像する事すら出来ない画像が次々と現れて行く。
50枚の画像がひとつの物語のとなり、組み合わせられた様に佐藤の心に侵食して来る。
徐々に乱れて行く着衣、同時に少女の美しい肢体が露わになって行く。
佐藤の脳裏には意識の無い少女が、まるで人形の様に無抵抗で一枚一枚脱がされて行くその場の様子が思い浮かぶ。
この時少女の状況は、まさしく佐藤の想像通り全身麻酔がかかった状態に近く意識も混濁し、欲望を叶える「美しい等身大人形」と化していた。
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※1)中間服・・・夏服タイプのセーラー服だが上着は長袖の制服。