『あなたを想う時〜春〜』-1
冬の名残と、新芽の香がする春という季節は、別れと出会いの季節です。
私はこの『春』、恋をしました。
淡くてほんのり色づいた、桜色の恋を。
卒業という名の旅立ちをした私たちは
それぞれの場所へ
春を感じるべく
導かれました。
同じ星に生まれたことに幸せを感じ、
同じ学校に通えたことに幸せを感じ、
同じときを過ごせたことに幸せを感じました。
もう会うこともないだろうあなたへの
別れ際に気付いたこの恋は
涙が出る程愛おしく
悲しいのです。
あなたを想うと
別れを連想させ
あの校舎を想わせるのです。
笑ったり
真剣に考えたり
泣きあったり
お互いに謝ったり…
悲しくも切ないこの恋は
皮肉にも
私に春を感じさせたのです。
あなたを想って流した涙が
『春の香』を感じさせるのです。