投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ホワイトライ
【悲恋 恋愛小説】

ホワイトライの最初へ ホワイトライ 1 ホワイトライ 3 ホワイトライの最後へ

ホワイトライ-2

―パタン―

「ふぁ〜あ。……おはよう〜お兄ちゃん。こんな朝早くから頑張るね」
「おはよう、沙奈。こんだけ静かな朝だからな、いい続きが浮かびそうでね」

散々と降り注ぐ朝日
静寂なる空気
優しき時間

「そうだ、沙奈。とりあえず、出来たところまで聴いてくれないか?」

「うん!いいよ」

響の柔かな指が奏でる
美しき旋律

澄み渡る青空
果てしなく続く草原
光、夢、歓喜

そのメロディーは
居心地の良い場所に
誘ってくれる

「すごい…。綺麗……」
「ありがとう。……けど、ここから先の盛り上がり、フィニッシュまでが出来なくてね…」

それは
ホワイトデーのお返しに
兄から捧げる
この世に一つの曲

「ねぇ…?お兄ちゃん」

「ん?どうしたんだい?沙奈」
「今日はピアノのレッスンお休みなんでしょ?」
「ああ。だから今日一日、これの続きに専念するよ」

「買い物に付き合って!?」
「へ?いや、今続きに専念するって言っただろ?」
「ヤダ!お兄ちゃんと行きたいの!付き合って〜!」
「いや、けど……」
「ほら!外に出て、買い物してスッキリすれば、いいのが浮かぶかも知れないよ!」
「スッキリするのはお前だけだろ?俺はクタクタになるって……」

「…付き合ってくれない、の…?」
「う゛………分かったよ。付き合うよ」
「えへへ、やったね!それじゃあ、すぐ支度するから待ってて」

妹の甘えに弱い兄
微笑ましくも情けない

しかしそれは幸福である

甘え、願い、悩める喜び
いつまでも
あるわけではない事を
幸せの内には気付かない

いや、気付けない


ホワイトライの最初へ ホワイトライ 1 ホワイトライ 3 ホワイトライの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前