ちょこみるく-1
「じゃあ、それでお願いします」
桂一は携帯を切ると大学生になってから覚えた煙草をくわえて火をつける。
4月から大学に通うため上京しアパートで一人暮らしをはじめたが都会の生活に馴染めず友人も恋人もできず孤独を紛らわすため風俗店を利用しつめ今ではプレミアム会員になっていた。今日も携帯で予約を取ったとこだ。
「紗江は今頃どうしてるだろう・・・彼氏でもできたかな・・・」
煙草の煙を吐き出し、ボソッと独り言をつぶやく。
紗江は桂一の妹で桂一になついていた。
小学生から中学生に成長にするにつれて子供から徐々に女らしい体つきへと変るにつれ桂一は紗江に兄妹以上の感情を持ち出していた。
このままでは兄妹以上の関係に踏み出してしまうと考え妹を残し東京の大学に進学し一人暮らしを始めた。
しかし孤独な都会の生活はいっそう妹に対する思いを募らせてしまった。
最近は彼氏でも作ってくれたらあきらめもつくだろうと考える毎日だ。
ピンポーン アパートの部屋のチャイムが鳴る。
「ん?」
訪れる友人も恋人もいないはずの桂一への訪問者。
桂一はいそいそと玄関へ向かい扉を開ける。
「やっほー、お兄ちゃーん。遊びに来ちゃったー」
満面の笑みを浮かべた愛らしい美少女が立ていた。
「紗江?紗江なのか?」
「なっ?ま・・まさか・・・最愛の妹の顔を忘れちゃったの?ひどーい!」
「そうじゃない!あんまり美人になったから・・・」
「え?そうかな・・えへへへ・・・いやだな・・・妹にお世辞使っても何もでないよ」
「いや、お世辞じゃない3月に別れてから4ヶ月しかたってないのにこんなに綺麗になるなんて見違えたよ」
「えへへへ、成長期だもの」
「胸もでかくなった」
「いやん。どこ見てんの・・・もうっ・・・エッチなんだから」
彼女は慌てて胸元を両手で覆う。
「本当別人みたいだ。」
「あれっ?もっと幼い感じで胸もぺったんのほうが好みとか?」
「いや・・・そんなことない。とにかく中で話そう」
「・・・よかった。妹なのにチェンジとか言われたらどうしようかと思った」
「あのな・・・」
桂一は紗江の背中を押すふりをしてお尻を押して部屋に招きいれた。
紗江は笑みを浮かべたままチラッと桂一の顔を見る。
ワンルームの部屋はフローリングで小さいテーブルとパイプベッドが置かれてるだけだ。
テーブルの対面の位置にクッションが一対ある。
紗江はクッションにちょこんと座る。
「元気そうだな。彼氏とかできたか?」
桂一は紗江の対面の位置に腰を下ろした。
「そんなのいないよ。紗江はお兄ちゃんが大好き。お兄ちゃんみたいな人じゃないとだめだもん」
「紗江・・・」
「お兄ちゃんが3月に突然、一人暮らしをすると言ったとき、紗江一杯泣いちゃった」
「あっ・・・そのことは謝ろうと思ってたんだ」
「えっ?」
「あの時は、このまま一緒にいたらもう兄妹のままではいれなくなると思ったんだ」
「兄妹でいれなくなるって?」
「紗江の事を妹以上に好きになってしまうと思ったんだ。だけど、一人になってみたら・・・だめなんだ・・・俺には紗江のいない生活なんて無理だった」
「紗江もだよ。お兄ちゃんのいない生活なんて耐えられなくて・・だから来ちゃった」
「よく親父が東京に行く事を許可したな」
「だってお兄ちゃんのとこだし夏休みだし東京滞在2時間だけってことで許してもらった」
「・・うまい設定だな」
「いいの?2時間しかないのよ。」
「紗江・・・愛してる。妹としてじゃなく女としてだ」
「紗江もお兄ちゃんを愛してるよ。お兄ちゃんの恋人にして欲しい」
「紗江・・今の俺にそんな事言ったら理性をなくす」
「お兄ちゃんならいいよ・・・」