Portrait-25
そして横たわるセリスの正面の壁には、
同じくアウザーが持ち込んだ額に入っている肖像画
がかけられていた。
そう、かつてあの画家が秘かに模写しアウザーに進呈していた乱れたままで横たわる“セリスの肖像画”である。
そして今横たわるセリスの身を包んでいるのも、
肖像画の中のセリスが身に付けているものと同じ、
あの官能的な
“紫色のドレス”だった。
これはセリス自身が用意し到着後わざわざ着替えたものだった。
―――シャァッ・・・・・
「まぁ、2枚の絵のうち1枚は実際に堪能したんだから、
もう1枚の方もやはり自ら堪能しなければな」
カーテンを閉じたアウザーはそのままベッドの方に歩み寄りつつ、
シャツのボタンを手早く外すや首からシャツを脱ぎ去り、脱いだ衣類を丸めて後ろに放り投げた。
セリスの前に2ヶ月前に間近にした褐色の胸板が露になった。
「たっぷりというわけではないが、折角のお忍びだ。前回のように、絵描きもいない。
お互いにこの時間は大事にしないと」
そう言いながらアウザーはベッドの上に両膝をつき、
傍らに横たわるセリスのドレスの裾を廻り上げた。
そこには黒いストッキングで覆われたスラリとした両足と、
既に蜜をたたえた“青い薔薇”が金色の茂みの中に花びらを広げていた。
「何度見ても飽きないものだな、その薔薇は。
今王宮の庭には“青い薔薇”の苗を逐次植えるようにしているが、見応えあるのはやはりこいつだよ」
「恥ずかしいわ・・・・」
「今更恥ずかしがる必要もなかろうに」
仰向けのセリスに上体を傾けつつ、
アウザーの右手が金の茂みを柔らかい指の動きでかき分けていき“薔薇”の中に指が2本沈み込んでいく。