Portrait-24
(また・・・また、こんなのって・・・・)
そして その時を迎えた時、
セリスは今までで一番の感極まった叫びを上げ、
ピクピクと身体を震わせながら、
肩越しに背後にいるアウザーの唇を求めていた―――――
“ドクドクッッ・・・ドクッドクンッッ・・・・”
“あァァァァァッッッ・・・・・・――――”
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島島島島島島島島島島島
―――セリスがアウザーの美術館を訪問してから約2ヶ月後、
―――ジドール
―――街の高級旅館の一室で、身分と出で立ちを変えたアウザーの姿があった。
「―――だが、こうして来てくれるとはね。正直嬉しかったよ」
「エドガーが他国訪問中を見計らったって、あんな意味ありげな使いを出されたなら、来ないわけにはいかないわ」
白いシーツが張られた上でセリスは半身になった状態で窓際に背を向けている立っている男、アウザーを見つめた。
前回とは違い、完全なお忍びでジドールを訪れ、
この旅館の一室に部屋を取り、
先程まで相手の来訪を待ち受けていたセリス。
簡素な部屋には殆ど調度品はなく、ベットの傍らに置かれた花瓶には、
アウザーが来訪時セリスに捧げた“青い薔薇”の花束がそのまま生けられている。
既に室内には薔薇特有の芳しい空気がうっすらと満ち始めていた。