君と僕と友達と-1
ピンポーン。
静寂を破るようにインターホンが鳴った。
芽衣子はガバッと体を起こすと、急いでクローゼットを開け、手当たり次第に取ったTシャツを着た。
芽衣子にはブカブカなそれは紛れもなく、俺がよく着ていたものだった。
下は寝間着代わりにしていたスウェットのショートパンツを履いて、もう一度急かすように鳴らされたインターホンに“はいはーい”と声をかけてから相手を確かめずにドアを開けた。
「よっ」
そこに立っていたのはやっぱり久留米で、仕事帰りのスーツ姿の奴は、疲れを見せない爽やかな笑顔を芽衣子に向けた。
……やっぱり今日も来たか。
俺はがっくりうなだれてため息を吐き、力無く立ち上がった。
久留米が登場すると、俺と園田は何も言わなくてもアパートを出るようにしている。
もちろん二人に気を遣っているわけじゃない。
むしろ、邪魔してやりたいくらいだ。
だが、俺は目の前で二人がキスしているのを見て以来、またあんな光景を見せつけられるんではないかと恐れていた。
だから自分が傷つかないよう、奴らがそんな雰囲気になる前にここから逃げ出すのだ。