君と僕と友達と-9
「芽衣子がいなかったから一人で心細かったんだよ。
でも、こちらのお二人が私の話し相手になってくれたから助かったけどね」
エリナがそう言って、俺達の方に手のひらを向けた。
「そうなんだ、初めまして。有野芽衣子です」
芽衣子はニッコリ笑って頭を下げた。
同時に大きく開いた胸元からピンクのブラがチラリと見え、思わず意識はそちらの方へと向いた。
久留米なら絶対これを見逃してるわけがねえと、一緒に喜びを分かち合うつもりで、にやけた顔を向けたが、やっぱり奴は口を開けたままのマヌケ面で芽衣子の顔を見ているだけだった。
なぜか急にノリが悪くなってしまった久留米に少し不満だったが、俺達も挨拶くらいはしないといけないと思い、芽衣子に向かって爽やかなつもりの笑顔を向け、名前を名乗った。
芽衣子は小さく“よろしくね”と言ってから久留米の方へと視線を移した。
しかし、久留米は相変わらずボーッと芽衣子を見つめているだけで何も喋らなかった。
芽衣子もエリナも不思議そうな顔で久留米を見つめていた。
なんだコイツ、急に酔いがまわってきたのかな、くらいにしか思わなかったが、それでもこのせいで微妙な空気になっているのは否めなかった。
とうとうしびれを切らした俺は“こっちのアホ面が久留米ね”と奴の背中をバチンと叩いて紹介してやった。