君と僕と友達と-7
ぽっちゃりした彼女の名前はエリナと言った。
エリナは出身が静岡県で、産業経営学科だった。
そこで同じクラスになった芽衣子という娘が同じ静岡県出身と知り、意気投合したと言う。
そして、たまたま二人が校内を歩いていた所、このサークルに勧誘されて入ることにしたらしい。
そんなわけで、エリナはその芽衣子とやらと今日の新歓コンパに参加する予定だったのだが、彼女は用事があって少し遅れて参加するらしく、エリナは今のところ一人で彼女の登場を待っていたそうだ。
エリナは明るく話題豊富だったので、俺と久留米もあっという間に彼女と打ち解けた。
俺達三人は単位の取りやすい授業の話や、初めての一人暮らしの失敗談や、アルバイトは何をやっているかなど話しては盛り上がっていた。
そうして楽しい時を過ごし、コンパも中盤を迎えた頃、テーブルの上に置いていたエリナの携帯が光ったので、彼女は素早く電話に出た。
「あー、やっと着いたのー? もう料理なんてほとんど残ってないよ。
うん……そうそう、入り口入って真っ直ぐくればお座敷あるからね」
電話をしながら、エリナが俺達に目配せをした。
どうやら、芽衣子とやらがやっと到着したらしい。
俺と久留米は“可愛いといいな”なんてバカを言っては芽衣子の登場を待ちわびていた。
ほどなくして、お座敷の引き戸をソーッと開けた一人の女が、恐る恐るといった感じで辺りを伺うようにしてそうっと部屋に入ってきた。