君と僕と友達と-5
◇ ◇ ◇
「なあ、いいのいた?」
俺は久留米の肩を叩きながら訊ねた。
「うーん、みんないい線いってんだけどなんか違うんだよな。
ビビビッとくる奴がいねえ」
「お前は松田聖子かよ」
俺は笑いながら、すでに始まっていた宴の様子を眺めながらビールを一口飲んだ。
俺と久留米はスノボサークルの新歓コンパに参加して、とある居酒屋の座敷の一角で座り込んでいた。
大学に入学し、久留米と出会ってすぐに意気投合した俺達は、上京したてにも関わらずナンパや合コンにいそしんでいた。
しかしどうも手応えがなく、空振りばかりだったので、出会いの場をサークルに替えてみようと、不純な動機からこのサークルに入ることにしたのである。
このスノボサークルはこじんまりと活動してるらしく、先輩方と俺達新入生を合わせても20名ほどであった。
だが、親睦を深めるならこれくらいの人数が一番よさそうだ。
メンバーもみんな明るく楽しそうな人ばっかりだし、冬以外の活動は夏にやるキャンプと飲み会だけっていう適当さも気に入った。
俺は値踏みするようにキョロキョロしながらビールを飲み、ジョッキが三分の一くらいに減った頃、向かいに座っていた女の子がメニューを差し出してきた。