君と僕と友達と-2
「久留米くん、毎日顔出すの大変でしょ?
無理しないでいいよ」
「ああ、全然大丈夫」
和やかな会話を尻目に久留米の横を通り過ぎようとする俺と園田。
「あー、なんで俺ん家なのに出て行ってやんなきゃいけねえんだろうな」
園田に向かって愚痴をこぼす。
いつもなら園田は、
「有野さんの新しい彼氏なんだからしょうがないでしょ、気を利かせてあげましょうよ」
などと突き放すことばかり言ってくる。
もちろん俺も、
「新しい彼氏じゃねえ、そもそも俺達は別れてねえんだよ!」
と、反論するけどちょっと虚しい。
だが今日の園田は、久留米の言葉に耳を傾けたかと思うと、その足を止めて俺の腕を掴んだ。
「手島さん、今日は二人は外食するみたいですよ」
園田の言葉にゆっくり振り返ると、久留米が
「飯、食いに行こうぜ。
お前最近ろくに食ってねえだろ? だからなんか奢ってやるからさ」
と、親指を外に向けている所だった。
「気持ちは嬉しいけど、もう部屋着に着替えちゃったし、今日はやめとくよ」
芽衣子は乗り気じゃなさそうで、首を横に振っていた。
ざまあ久留米、帰りやがれ!
したり顔で久留米を見つめるも、空気の読めない奴は、
「大丈夫だって、近場にするからさ」
と、芽衣子の細い腕をグイッと掴んだ。
咄嗟に“芽衣子に触るんじゃねえ”と、久留米の手を振り払おうとしたが、園田の咳払いによって、それは遮られた。