私が欲しいなら-1
「よっしゃぁ!またまた俺の勝ちだぜぇぃ!」
「もうっ!なんで?なんで勝てないのよぉ!」
放課後、誰もいない教室。
私は仲の良いクラスメイトの翔太とふたり、
暇つぶしがてらはじめたトランプに躍起になっていた。
「ふふん、これで俺の3連勝……ちゃんと約束は守ってもらうぜ?」
「わ、わかってるわよっ!」
そう言って鞄を手に取ると、勢いよく椅子を引き席を立つ私。
翔太はニヤニヤと笑いながらトランプを片付けると、
同じく鞄を手にしては、私のあとをついて歩いた。
負け1回につき恥ずかしい写メ1枚
なんでそんな約束したのかなんて覚えていない。
よくよく考えたら、私が勝ってもなんの得もないように思える。
けれど、いまさらそんなことを言っても後の祭りだ。
何度やっても勝てなくて、そんな条件出してまで勝負を挑んだのは私なんだから……
「は、恥ずかしい写メって……どんなの撮ればいいのよ?」
もじもじとそんなことを尋ねる私を見て、不敵な笑みを浮かべる翔太。
明るくて背が高くて、見栄えもまぁそこそこ悪くない。
そのうえ話し上手なもんだから、クラスの女子から結構モテてるみたいなんだけど、
「京子が見られて恥ずかしいと思うヤツならなんでも♪」
どうにもエッチなのがたまにきず。
ネットを調べりゃお気に入りの画像なんて山ほど出てくるだろうに、
事あるごとに私にエロ写メをせがんできてはこの始末だ。
(コイツ、もしかして私に気があるのかな?)
なんて思い上がりはしない。
だってクラスの女子を敵にまわすのは嫌だし、
なによりこんなヤツと付き合ったら、きっととんでもないことを要求されるに決まってる。
「……なぁ?なんか失礼なこと考えてないか?」
「えっ?べ、別にっ!どんな悩殺ポーズにしようか考えていただけよっ」
慌てて切り返したはいいが、どうやら墓穴を掘ったみたい。
「ほほぉ…… そりゃ楽しみだな!いいか、3枚だからな?忘れるなよ?」
「う、うるさいわねっ!わかってるわよ!」
そう言って手を振り背中を向ける翔太。
足が重い。家に帰り着くのが恐い。
ホントにもうっ!恥ずかしい写メってどんな恰好すればいいってのよっ!