私が欲しいなら-2
帰り着くなり私は自室に入り、部屋の真ん中で大きな溜息をついた。
恥ずかしい写真はもとより自撮りなんてしたこともないのに、
どうしてあんな約束なんてしちゃったんだろう。
スマホを手に持ちカメラモードにしながら、色んな角度で自分を見てみる。
変な顔──って、顔は写さなくてもいいよね?
かと言って身体に自信があるわけじゃなし、
いったいなにを撮っていいのやら皆目見当がつかない。
そもそも悩殺ポーズってなによ?
どんなポーズ撮ればアイツの脳を殺すことが出来るの?
私は頭を掻きむしりながら、しばらく呆然と立ち尽くしていると、
ふと、軽快な着信音を耳にするや、翔太からメールが届いたことに気がついた。
──ただいまぁ〜ヽ(゚∀゚)ノ 今着替えてる真っ最中です!
いちいちなにを報告してんだか。
そんなことを思いながら、何気に添付されていた画像を開いてみると、
そこにはシャツのボタンをすべてはずした生々しい翔太の上半身が写っていた。
思わず見入ってしまっては、ゴクリと唾を飲む私。
普段目にすることのない男の人の身体。
胸板の厚さまではわからないけれど、割れた腹筋がとても綺麗で、
なんだか言葉に現せない男の色気のようなものを感じてしまった。
私は制服のスカーフをほどくと、おもむろに胸元のホックをすべてはずした。
汗ばんだ胸元、薄い水色のブラジャー、
少し見栄をはって脇を締めながらシャッターを切ると、
どんな風に写ったかも確認せずに、それを翔太へとメールしてみた。
心臓がやけにドキドキしてる。
あんな写真、ホントに送ってよかったのだろうか?
私はまるで時が止まったように、しばらくその体勢のままじっとしてると、
すぐさま着信音とともに、翔太から返事が返ってきた。
──うおぉぉ!京子の胸でけぇ!俺もサービスしちゃうぞ(`・ω・´)
私は思わず吹き出しながらも、思いのほか喜んでくれていることにホッとしていた。
けれど、そのメールに添付してあった画像を見るや一変、
私の心臓は再び激しく高鳴ってしまった。