『フラゲに注意』-6
だとしたらもう理沙の物でほぼ確定してるじゃないか。
俺の頭の中で、勝利のファンファーレが鳴り響いた。
口から万国旗を吹き出し、両耳からは白い鳩やらクラッカーが飛び出している、そんな気分だった。
「おかえり、理沙」
ショーツに向かって俺は囁いた。手のひらに乗せてみると、それは天使の羽根のように軽かった。
そして興奮しきった手つきでスカートの中にショーツを仕舞うと、俺はふたたび間抜けなダイブをして、理沙の分身と重なった。
シャワーを浴びようとも思ったけれど、それどころではない。
「理沙……、俺の理沙……」
自分の服を剥いてボクサーブリーフだけの姿に変身すると、俺は彼女の名前をくり返し呟き、満面の笑みでマスターベーションに耽る。
ブラウスの胸のあたりを揉み揉みしながら、ありったけの思いをぶつけるように匂いを吸引する。
なんて甘い匂いなんだ──。
お楽しみはこれからだ。今度は清楚に整ったスカートにも手を這わせて、そいつをゆっくり捲っていけば、白いショーツが恥ずかしそうに顔を覗かせる。
指先に意識を集中させて、ショーツの足口から内部へ侵入する。
そこだけ温度が違う。熱がこもり、湿度さえも感じる。
リアルなんですけどみたいな──。
俺は夢中でショーツを犯した。女の子の体内が濡れていく感覚、そのラブジュースがたっぷりと指に絡み付く錯覚が、童貞であるはずの俺にもイメージできた。
下から突き上げてくる快感に翻弄されて、痩せ我慢をする理沙の表情に、俺は萌えて萌えて萌えまくった。
「理沙、イクときは一緒だよ」
ティッシュペーパーを引ったくり、それを自分自身の先端に被せて、その上からさらにショーツを重ねる。
理沙の幻が、「イクう……イクう……」と俺に泣きついてくる。
精巣がぐつぐつと音をたてて、今にもマグマが噴き出しそうだ。
もう出る、もう出る──。
そうして俺は理沙の中に大量の精液を吐き出し、最後の一滴までケチらずに注入してやった。
最高な気分だった。性欲がおさまり、少しずつ理性を取り戻していくうちに、男として一皮剥けたような充足感が身体中を満たしていた。
明日もまた彼女に会えるだろうかという淡い気持ちをくすぶらせたまま、俺はいつの間にか泥のように眠っていた。
*
翌朝俺は、アパレルショップの紙袋に汚れ物を入れて、昨日のコインランドリーへ行ってみることにした。
期待はしていないが、下手な出会い系サイトよりは確実に彼女に会えるだろう。
人間の記憶とはじつにあやふやで、偶然出会った女の子がどんなに好みのタイプでも、一晩寝て起きるとなかなか思い出せなくなってしまうのだ。
それは妄想族の俺とて例外ではない。新井理沙の顔がどんなふうだったのか、声の感じはどうだったか、思い出そうと目を閉じてもそこんところが上手くいかない。
ぬぬぬ……、むむむ……、ぐぐう……。
これでは肩が凝ってしまう──。
そうやって道路交通法に触れない程度の『ながら歩き』をしていると、見覚えのある路地に差しかかり、そこを折れてコインランドリーに向かう。