投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

仄か
【その他 官能小説】

仄かの最初へ 仄か 19 仄か 21 仄かの最後へ

-20


 そういえば、自分の若い頃にも、夏場に猛勉強をするというイベントがあった。

 せっかくの夏休みなのに──なんて文句も、セミの声にかき消されていたのを思い出す。

 今まさに、隣の女の子は、テーブルに置いたクリアファイルから、教材のようなものを取り出している最中である。

 そこからすべり落ちた、一枚の紙が、私の膝の上に着地した。

「すみません……」

 ささやくような声で、女の子が言うと、私も彼女に同調した。

 大人しそうだが、言動は繊細であり、清楚でいて、芯がある。

 将来はどんな職業に就くのだろうかと、私は余計な夢を見ていた。


仄かの最初へ 仄か 19 仄か 21 仄かの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前