記-19 相変わらずの私は、飲食もしないまま、理性の中をさまよっていた。 窓側の女の子は、お菓子を食べたり、ジュースを飲んだり、スマートフォンをタップしたりしている。 まるで、席を立つ気配がない。 私に遠慮しているのだとしたら、それはそれで申し訳がない。 お菓子も、ジュースも、味気なく感じているのだろうか。 彼女の向こうの車窓に、そろそろ、世界遺産の雄姿を望める頃だと思った。