君に気付いてもらいたい-9
ムカついた俺は、園田の薄い頭をぐしゃぐしゃに乱してから、芽衣子の方を見やった。
彼女は冷蔵庫からよく冷えた2リットルのペットボトルのお茶を出し、そのまま口につけるとグビグビ喉を鳴らして飲み始めた。
ある程度飲んで満足すると、再び冷蔵庫にそれをしまう。
次に彼女は、白い半袖のブラウスのボタンをプチプチ外し始めて、一気に脱ぎ捨てた。
タイトな紺色のミニスカートもストッキングもスルスル脱いではベッドに放り投げていく。
芽衣子は黒いブラとショーツだけのあられもない姿のままでベッドにダイブした。
「こんな色の下着だと透けてしまうでしょ? ベージュが透けにくいの知らないのかな」
園田はバカにしたような口調になりながらも、まんじりと芽衣子の身体を見つめていた。
「おい、あんまり見てんじゃねえ!」
毎日こうやって俺と園田は、芽衣子が着替えをするたびに上記のようなやりとりになる。
天使だから平気だろうと思っていたけど、以前芽衣子が着替えを始めたときに園田は“ヒャッホー”と小さく声をあげやがった。
天使のクセに普通の人間の男みたいな感情を持っていることを知り、俺は自分が死んだあの日、芽衣子が久留米に抱かれる様子を見ててくれと頼んだことを心の底から後悔した。