君に気付いてもらいたい-6
こんな風に淡々と殺しの失敗談を挙げていくと、自分が冷酷無比なヒットマンにでもなったような気になるが、最初のうちは芽衣子を手にかけようとすることが怖くて、手も足もガタガタ震えていたのだ。
人の命を奪うってことは、やってはいけないことくらい重々承知している。
だから、芽衣子に手をかける直前までは怖じ気づいてばかりで踏ん切りがなかなかつかなかった。
でもそんな禁忌を乗り越えたら、芽衣子もすぐに霊魂となって俺の存在に気付いてもらえるのだ。
一緒に生まれ変わりたいって気持ちはもちろんだけど、もう一度芽衣子に俺の存在を気付いて欲しい、その思いが俺の躊躇いを払拭してくれた。
しかし、結果はどれもミス、ミス、ミス。
こうもミスが続くと結構精神的にしんどいものがあり、園田の言うとおりこんなバカげたことは止めてサッサと成仏しちゃおうかなとも思う。
だけど、それでも諦められないのはきっと今日も……。