君に気付いてもらいたい-5
ならば植木鉢や鉄アレイなんかを落としてみてはどうかと、俺でも持ち上げられて、なおかつ殺せるほどの威力のあるものを色々試してみた。
しかし、高い所から人間の頭に狙いを定めて物を落とす難しさは半端でなく、ことごとく失敗した。
やがて芽衣子も何度も自分の周りに不自然過ぎるほど物が落ちてくるのを不審に思ったらしく、とうとう通勤ルートを変えてしまったのである。
今度は階段の一番上から突き飛ばしてみようとスタンバイしてみたが、芽衣子は階段の手前で思いっきりすっ転んでしまい、周りの人に助けられつつ、足を引きずりながらエレベーターに向かっていった。
ならば駅のホームの一番前に並んでいた芽衣子を、電車が来たタイミングで突き飛ばそうと試みたが、そこでもすかさず変なオヤジが割り込んで来て芽衣子の前を陣取る始末。
いいかげんイラついてきた俺は、車にひかれて死んでしまえと車道に突き飛ばそうとしたら、なんと俺が芽衣子を突き飛ばすより早く、自殺志願者らしき暗い顔した青年が絶妙のタイミングで飛び込んでしまったり。
まるで芽衣子には強力な守護霊でもついてるんではないかって思うほど、彼女は悪運が強かった。
最初は必死で俺を止めようとしていた園田も、今ではすっかり放置プレイだ。