君に気付いてもらいたい-2
もちろん、俺がしようとしていることは重大なルール違反で、成仏ポイントは一発で0になってしまうほどの最悪の行為らしい。
だから俺が“芽衣子を殺す”発言をした当初は、園田は必死に俺の愚行を止めようとしていた。
「手島さんがサッサと成仏して、人間に生まれ変わって有野さんに会いに行けば問題ないでしょ?
手島茂としての記憶もないし、どこの国の人間として生まれるかはわからないけど、有野さんと因縁深い間柄なら、いつかは巡り会う可能性は高いんですから。
成仏ポイントが足りなければ、それこそひどい環境の元に生まれる可能性が高くなって、結果的に有野さんに巡り会える可能性が低くなるんですよ」
園田は、俺が成仏ポイントが0の状態で、芽衣子と一緒に生まれ変わったとしても、まず間違いなく生まれ変わった彼女とは会えないだろうとも付け加えてきた。
「でも、俺だけ成仏しても、俺だけが赤ん坊からやり直さなきゃいけないんだろ?」
「それはそうなんですが……」
「それじゃあ遅すぎるんだよ。
俺は久留米なんかに芽衣子を絶対渡したくないんだ」
そう、はっきり言って俺のいないところで、芽衣子と久留米が幸せになるのが許せないって気持ちが俺を愚行に走らせる一番の理由だった。
アイツに芽衣子を譲るくらいなら、たとえ可能性がどんなに低くても、芽衣子と一緒に来世に生まれ変わって、巡り会うという奇跡に賭けてみたかった。
大穴狙いは数々のギャンブルで慣れっこだからな。
……勝った試しはないけれど。