君に気付いてもらいたい-12
そんな風に、反省の色を今まで全く見せなかった俺が、今初めて芽衣子の腰の擦り傷に心を揺さぶられかけている。
人を傷つけるということの愚かさがやっと理解できてきた気がした。
俺は散々芽衣子を傷つけてきただけでは飽きたらず、今度は彼女の命まで奪おうとしていたのだ。
自分がしようとしてきたことの重大さに悪寒が走った。
「……手島さん、もう有野さんのことは諦めませんか?」
俺のわずかな心の葛藤を読み取ったかのように、園田が静かに言った。
「……正直、手島さんが有野さんに執着した所で、一緒に生まれ変われる確率なんて10パーセントにも満たないと思います。
それに有野さんは、あなたと生まれ変わることを望んでいると思いますか?
この体のアザだって、あなたがやったんでしょう?
自分を傷つけ、挙げ句に殺した男と一緒に居たがるとは到底思えないです。
彼女には彼女の人生を生きる権利があって、彼女の人生を奪う権利なんて、あなたにはないんですよ」
奴の言葉に、俺は何一つ言い返せず、俯くことしかできなかった。